こんにちは、のの(@mentalhelp_labo)です。
今さら感があるのですが、アマゾンプライムに登録したのをきっかけにプライムビデオで配信されている「ツレがうつになりまして。」を夫婦で観ることになりました。
結局、導入部分で2人とも辛くなって最後まで見れなかったのですが、医師が診断をする場面で違和感を覚えました。
うつは心の風邪?そんな生易しいものではない。
今回は、そう思った理由を私の体験談をもとにご紹介します。
うつが「心の風邪」と例えられる理由
まずは、うつがなぜ「心の風邪」と例えられるのか、その理由を考えます。
精神科医の泉谷氏はうつを心の風邪と例える理由を次のように書いています。
人々の「うつ」に対する偏見や恐怖心を払拭し、早期発見と気軽な早期受診を促すキャッチコピーとして、かなり役立ってきているものでしょう。
また、ことに精神論に傾きがちな日本の風潮に対して、このフレーズには「うつ」を身体的な病気に近いイメージで捉えてもらうための、啓蒙的な効果もあるものと思われます。
専門的なことですが、近年、有効性が高く副作用の少ないSSRIやSNRIと言われる新しい種類の抗うつ薬が登場したことで、薬物療法での治療効果がかなり期待できるものになりました。
そういう背景もあって、この表現には「風邪の時に感冒薬で気軽に対処するように、『うつ』も気軽に治療を受けて、早目に治してしまいましょう」というメッセージも込められてもいるわけです。
また、「うつ」が「風邪」に喩えられた理由としては、かかる頻度の高い病気であるということや、甘く見てこじらせると重症化する危険があるためなのだろうと思われます。
「ウツ」を“心の風邪”と喩えることの落とし穴 ――「うつ」にまつわる誤解 その(4)|男の健康|ダイヤモンド・オンライン
確かに「風邪」と例えられると偏見や恐怖心は払拭されるかもしれません。
ただ、「風邪」と例えられると、「気軽に治療を受ける」というよりも「3日も寝れば治るだろう」と誤った認識をされてしまうことに繋がるのではないでしょうか。
私はうつを心の風邪と例えることはうつを発症している人をより苦しめることになるのではないか、と思います。
私の場合
うつを発症した当時のこと
私が発症したのは8年も前、まだ大学生でした。
自治会の仕事でのストレスやプレッシャーが自分のキャパを超えた時、私は発症しました。
ある日突然、学校にいけているのに講義に出られなくなりました。
授業に出ていても、大勢が出席している大学の講義に耐えられず、途中で退席してしまうことも多かったです。
そして、マンションの8階に下宿していた私は、飛び降りて死んでしまいたい希死念慮に襲われるようになりました。
夜も眠れず、夜中には何かに襲われるような恐怖心がありました。
何をする気にもなれず、食欲もなく15kgも体重が落ちました。
アルバイトに行くにも体が動かず、直前で当時の彼氏(現夫)にバイトを代わってもらうことも多かったです。
精神科や心療内科を受診して自分が精神疾患もちという烙印を押されるのが嫌で、受診も躊躇していました。
現夫に引きずられるように精神科を受診しました。
うつは少し休むだけじゃ治らない
うつを発症してから、2ヶ月くらい学校を休みました。
といってもちょうど春休みだったので休学はしていませんが、自治会の仕事をすべて他の人に任せてお休みをもらいました。
ただ、春休みを終えたら戻らなければいけない、それまでに直さなければならない、と自分を追い込んでしまい、症状は重くなる一方でした。
診断も不安障害からうつ病に代わり、私は自治会に戻れない状態のまま春休みを終えました。
はじめて仕事を休職した時も、いつまでに戻らないといけない、と自分を必要以上に追い込んでしまいました。
いつ頃戻れそう?だいぶよくなった?
そういうメールや電話は有り難くも自分をより追い込む材料になってしまっていました。
そして無理をして復職したのち、半年でまた休職しなければならない状態になってしまいました。
本当の休息が必要
うつのどん底の状態から這い上がるには本当の意味での休息が必要です。
何もする気になれないなら、本当に何もしないこと。
自分が楽しいと思えることがあるなら、それは思いっきり楽しむこと。
ストレスに思うことやプレッシャーに思うことからはちゃんと離れること。
そういう休息ってなかなか難しいんですよね。
休んでいることの後ろめたさとか、休んでいるのに遊んでいいのかとか、思っちゃうんですよね。
でも、本当の意味で元気になるためにも休息が今課せられている仕事だと思わないといけないです。
うつに総合感冒薬ような薬はない
通常の風邪は総合感冒薬を飲んでいたら、1週間あれば治りますよね。
うつには総合感冒薬のようなものがありません。
その人ごとに合う薬、合わない薬があります。
副作用も吐き気がひどく出てしまう薬もあります。
しかも、ほとんどの薬が1ヶ月程度飲み続けないと効能が出てこないので、薬が合わなければ徐々に薬を減らしていき、新しく試す薬を徐々に増やしていくことが必要です。
正直いって終わりの見えない治療になります。
うつで苦しむ人にとっては地獄ですよね。
でも最近は、有効性が高く副作用の少ない薬が出てきています。
希望を捨てずに、薬をひとつずつ飲んでいくしかありません。
自分の判断で止めてしまうようなことは言語道断ですよ。
おわりに
うつが心の風邪と例えられるような生易しいものではないことがお分かりいただけたでしょうか。
皆さんがうつで苦しむ期間が少しでも短くなりますよう、願っております。