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【本「うつを甘くみてました」を読んだ感想】終わりのない闘病だけど独りじゃない

こんにちは、のの(@mentalhelp_labo)です。

今回はブリ猫。さんの著書「うつを甘くみてました」を読んだ感想を記事にします。

  • うつってよくわからない
  • うつ病患者が家族や友人、知り合いにいる

という全ての方に読んでいただきたい本です。

はじめに:「うつを甘くみてました」を手に取った経緯

最近までTwitterでいわゆる「病みツイート」を見るのが苦手で、双極性障害やうつ病の方をフォローしていませんでした。

ブログを始めてから、双極性障害やうつ病でも前向きに発信している方が多くいらっしゃることを知り、Twitterでもその方々をフォローさせていただきました。

それが「うつを甘くみてました」の発売を知るきっかけとなりました。

発売日、精神科への通院日だったので近くの書店を3件まわりましたが、どこも取り扱っていないとのこと…

しかし、「うつを甘くみてました」というタイトルに付いているハッシュタグ「#双極性障害 #受け入れる #人生」がどうしても気になって読みたい気持ちは抑えきれず、大型書店で購入しました!

「うつを甘くみてました」の特徴

「うつを甘くみてました」略して、うつ甘の特徴をわたしなりにまとめてみました。

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解決策本ではない闘病本

うつに関する書籍の中には、成功体験本が多く出版されています。

「こうやったらうつが治りました!」

「こうやったら元気な自分に戻れました!」

それらの本には、もちろん有益な内容も多く含まれています。

自分では思いつかなかったようなことを実行されて良い結果が出たというのは、うつで苦しむ患者にとっては新しい発見です。

この「うつ甘」には、病気を良くしたり治したりする方法は書かれていません。

しかし、「うつという病気とどう向き合うのか」について、患者本人はもちろん家族も深く考えることができる内容になっています。

一奮闘記、一事例ではありますが、本書の帯にも書かれている「終わりのない闘病だけど独りじゃない」を1冊通して考えさせられる本です。

病院ではあまり教えてくれない社会保障を紹介

自立支援医療制度やヘルプマークの存在、障害年金など病院ではあまり教えてくれない社会保障について紹介されています。

赤裸々なお財布事情についても具体的に書かれているため、当事者が自分に置き換えてイメージしやすい内容になっています。

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共感したところにチェックを入れられる

各ページ「わかる!」と共感したところにチェックを入れられるようにチェックボックスが設けられています。

(写真の赤く囲んでいるところです)

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このチェックを入れることによって、次のメリットがあります。

  • その時の自分がどこに共感していたのか後から見直すことができる
  • チェックをつけた「うつ甘」を家族に渡して、どういうところに共感しているかを伝えられる

なかなか、家族に言葉で伝えようと思ってもうまく伝わらないことってありますよね…。

「うつ甘」は共感エピソードにチェックをつけることができるので、どのようなところに共感しているのかを伝えられます。

わたしの共感エピソード

「心の病」ではなく「脳の病」

主人公のブリさんが「死にたい」という希死念慮に襲われ、家族で診察(カウンセリング)を受けるシーンです。

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「うつ」は自分でコントロールができない「脳の病」です。

「心の風邪」と例えられることもありますが、そんなに生易しいものではありません。

もちろん薬を飲むだけではどうにもできない、考え方を変えてみることも必要となってきます。

しかし、「脳の病」であることで、「気の持ちよう」や「根性論」でどうにもできないことが世の中に伝われば嬉しいです。

「うつみん」は自分の意思に関係なくやってくる

#こんな世界に見えているのを絵にしました というシーンです。

うつ状態と躁状態をご家族に説明するために書かれたものなのですが、「めっちゃわかる!」と共感のチェックを入れました。

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うつ状態になると必ずやってくる「うつみん」。

その「うつみん」の親玉に拘束されて何も身動きが取れなくなってしまう状態を描いているのが写真の左ページです。

不可抗力で自分ではどうにもできない絶望感に襲われている状態…。

これを理解してくれる人はそういません。

しかし、ブリ猫。さんがこのように表現してくれたからこそ、わたしでも伝えられるかもしれないな、と思いました。

 見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ

この言葉は金子みすゞさんの詩にもなっており、この「うつ甘」でも紹介されています。

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目に見えないから周りのみんなには気づいてもらえない、わかってもらえないけれども、確実に抱えていること、皆さんあると思います。

もちろん、それが「うつ」でなくてもです。

「見えない、言えない何かがあるんじゃないか」といつも心に余裕を持って、人と接していきたいな、と思います。

読んでみた率直な感想

主人公は猫でも表現は「うつ」そのもの

主人公は猫である漫画がメインの本ですが、表現は「うつ」そのものです。

わたしは2度、この本を読みながら自分に重ねすぎてしまって涙が止まらなくなり、読むのを中断しました。

自傷行為やオーバードーズ(薬の過剰摂取)など、かなり生々しい描写がされています。

主人公が猫だからこそ読めるのですが、読むときはゆっくり自分の体調と相談しながらの方がいいですね!

ほとんどが漫画だから何回でも読める

1周目は泣きすぎてよくわからなくなってしまったので、2周目にじっくり読みました。

ほとんどが漫画なので何回でも読み返すことができます。

うつ期に文章の理解が追いついていかない方にも優しい本ですね。

(わたしも文章を書くのは好きなのですが、うつ期に読むのは苦手な方なので読みやすくて良かったです)

「育て方が悪かった」と自身を責める両親と向き合いたい

わたしは両親にうつを発症するきっかけとなった出来事のことも言えてません。

「どうしてそうなっちゃったのかな、育て方が悪かったんだね、ごめんね」

と母に言われたときは、違う!と心の中で叫びながらもうまく表現ができずにいました。

「うつ甘」を読み終えた今、そんな両親とこの「うつ甘」を通して向き合ってみようかな、と思っています。

タイミングや自分の体調もあるので、いつできるかは未定ですが、両親とちゃんと向き合って前向きに双極性障害を受け入れた人生を送りたいです。

おわりに:うつ患者をもつ家族にこそ読んでほしい

「うつ甘」には、うつとどう向き合うか、サポートする家族の視点も多く盛り込まれています。

共感エピソードは一人一人異なりますし、是非ともうつ患者をもつ家族にこそ、「うつ甘」を読んでいただきたいです。

序盤のエピソードはかなり辛く重いものですが、読み終えた後にはホッコリする気持ちで前向きになれます。

難しいことはわからないけど、身近にいるうつをもっている人の気持ちを知りたい

という方にもすごくオススメの本ですので、手にとってみてくださいね。

みなさんが前向きに人生を歩めることを願っております。